ののねどこ

ドンフラさまに熱烈なラブコールをいただいた気がしますｗ
魚人って入力するたびに必ず飛んでこられるならば…！
と思いつつ、やっぱり玉砕した。

前提として、うちの天魁星共演には王子が含まれてないっていう大問題が…ね…
えーっと、ブログで一度、女王騎士ED＋２の戦争中＋トランで坊と王子の共演をちらっとネタにしたことがあるので、その続きで書くならこんな感じ。

というわけで、「続き」から王子と坊のSSです。
※王坊になってません

---

※坊＝レン、王子＝セイリーク



唐突に釣り大会をしよう、と思った。

それを口にすると、その場にいた全員が微妙な生笑いを浮かべた。
唯一の例外は全ての決定権を握る女王で、反乱軍を平定するために全力を注いで戦っていたと思っていた兄が実は戦時中かなりの頻度でセラス湖で釣りをしていたことを知った彼女はしばらく口をぽかんと開けた。

ただし結局のところ、彼女は満面の笑みを浮かべて承認することになる。
そしてその後、その場にいた全員が、自分も参加するという女王をなだめるのに苦労したのだった。


　　*********


妹には参加を断念させたくせに、自分は一般参加をしている。
そのことに若干罪悪感を覚えないではなかったが、マイ釣竿を手にするとセイリークの頭からは釣り以外のことがスポンと抜け落ちた。

「（リムにはお土産を持って帰ろう。とびっきりの大物を！）」

女王が王都を離れての行事となるとかなりの大事となる。そうなると、セイリークとて気軽に参加はできない。
セイリークは、自分が釣って帰ったものを自身の手で捌いてリムに供するということで彼女の了解を得ていた。

そうは言っても、彼も国内では顔が割れすぎている。
そこで、今日は銀色の短髪の上に赤茶が混ざった長髪のカツラをかぶっていた。
なんのことはない、ロイの変装だ。ロイがセイリークになれるなら、逆もまた然り。
ロイを見習って前髪を一房、ばっさり前に下ろしていた。視界が多少悪いが、瞳の色を隠すには丁度良い。
釣竿を受け取って舟でセラス湖上へ漕ぎ出すまで、誰にも見とがめられることはなかった。

「……ん？」

良ポイントを求めてギッコギコと舟を漕いでいたセイリークは、帽子のつばを持ち上げて前方に目をやった。
今回の釣り大会はそこまで大規模ではないが、それでも湖上にはそれなりの人がいて、三々五々に舟から釣り糸を垂らしている。その多くは数人のグループだが、中にはセイリーク同様１人で舟を使っている者もいる。

セイリークが気にしたのは、その中の１人だ。
小さな舟の中にごろんと横になっている。仰向けの顔の上にはページを開いたまま伏せた本。読んでいる様子はないから日よけのつもりだろう。
舟の縁に釣竿を固定し、寝転がったまま片手でそれをちょいちょと動かし、時々釣竿を引き上げては、やはり寝転がったまま釣り針の先から何かを外し、また湖面に釣り糸を垂らしていた。

その釣り上げた時の動作が、どう見ても魚を捕った時のそれではない。
好奇心に負けたセイリークは、ギッコギコとその舟に向かって漕ぎ出した。
小さな波が湖面を渡り、目的の舟をゆらゆらと揺らす。寝転がっていた彼は顔に乗せていた本を持ち上げると、顔だけを少し起こしてこちらを見た。

「（……あ、やば）」

知り合いだ。
しかもセイリークの釣り好きを知りかつ今回協力してくれる仲間たちではない。
ファレナの代表としてしか顔を合わせたことのない人物だ。

一瞬ためらったが、そのまま近づいてみることにした。
会ったのは数回。しかもその時の自分は正装だった。
こんな長髪の自分は知らないはずだし、しかも髪の色も違う。ロードレイク住民のような服装をしているし、バレることはないだろう――と思ったのだが。
「ご無沙汰しております、ファレナス閣下。お忍びですか」
まだ顔がハッキリと分からないうちにそう声をかけられてしまった。

「……バレましたか」
「上手な変装だと思いましたが。ああ、閣下とお呼びするのは問題がありますか」
舟から身体を起こした彼がさわやかな笑顔をこちらに向ける。
セイリークは観念すると、帽子をぬいで舟を彼の横につけた。

「……今は、セイ、でお願いします。マクドール殿」
「ならば僕のこともレンと。語尾には『殿』も『さん』もいりませんよ」

そう言うと、レンは口の端を持ち上げた。

---

もともと共演じゃないと、出会うまでに字数を食うという典型例ｗ
釣り大会のためにファレナまで行く坊は……どうなの……
魚人込みで王坊を書くなら、この後からだなと思ってたんですが。

多分つづかないorz