ちょっと弱気の日記を書いてしまったので修正~。
SS更新しました。まだしばらくブログ内のみの更新が続きます。
ぐりぐりマウス描きの4主つき。
イラストから先にできたので拙いけれどつけてみました。
我ながら、ちゃんと写真やイラストを見ながら描いた方がよいと思うw
いつかで、どこかの、坊(レン)と4主(カイト)。
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ぐりぐりマウス描きの4主つき。
イラストから先にできたので拙いけれどつけてみました。
我ながら、ちゃんと写真やイラストを見ながら描いた方がよいと思うw
いつかで、どこかの、坊(レン)と4主(カイト)。
◆Prayer◆
「この世には、どれだけきれいなものがあるんだろうね」
ふいに言われた言葉をどう捉えて良いか分からず、レンは目をぱちくりさせた。
だが、言った当人は別に誰に聞かせるつもりもなかったらしい。
カイトは正面から吹いてくる風を受け止めて目を細め、ほうと静かなためいきを吐いた。
返事を返さないレンを気にした風もなく、くるりと身体を翻すといたって気軽に崖の端に立つ。
――危ない、とは声をかけない。
言ったところで先ほどの風と同様、さらりと受け流してしまうだろう。
だから、ただ黙って彼の背を眺め――…眺めたまま、一歩、後ろへ下がった。
彼は感動しているようだけど、生憎自分の目に映っているものは、昨日と同じ、ただの平凡な風景としか思えない。
崖下に広がる小さな盆地に、肩を寄せ合うように重なり合う小さな家々。
微笑ましいし好ましいとは思うが、とりたてて目新しいとは思えない。
だが、彼の目にはきっと異なる世界が見えているのだろう。
はるか眼下にある村を包み込むように両手を大きく横に広げて思い切り空気を吸い込む後姿は、それを邪魔することをためらわせる何かがあった。
「―――…きれいだ」
ため息のように落とされる呟き。
心から感嘆しているその声音を聞いて、ふいに激しく羨望の念が湧いた。
彼は、世界を愛している。
その双眸に映る全ての景色を愛おしげに抱きしめる。
なぜだろう。
瞳の色が違うと、世界は違って見えるのだろうか。
彼の澄んだ蒼色を通すと、世界はより深く、美しく、感じることが出来るのだろうか。
ふいに振り向いたカイトが、大きな笑顔になった。
見てごらんよ、と手のひらを広げてはるかな下方を指し示す。
その表情はなぜか、ひどく誇らしげで。
レンは苦笑しながら彼の隣に並んだ。
はるか先の、はるか下に肩を寄せ合うようにして集まった、小さな小さな人々の営み。
それは自分にとって、郷愁と寂寥を呼び起こすものでしかないはずなのに。
「レン」
柔らかに自分の名を呼ぶ、声。
まるで子供のような目をして無邪気に微笑む、150以上も年上の友人。
「人の作り出すものは、いつだって温かくて優しいね」
――なぜ彼は、こんなに嬉しそうなのだろう?
「一人じゃないから、そう思えるんだよ」
レンの心の内を見透かすような言葉を吐いて、カイトは目を細めた。
「Our Father.. which heart in heaven, hallowed be thy name.....」
突然、カイトの口から柔らかな旋律と共に異国の言葉がこぼれ落ちた。
「The Kingdom come... thy will be done... on earth... as it is in heaven...」
低い音律が余韻を残して響く。
レンの視線に気づくと、照れたように肩をすくめた。
「どこの言葉?」
「知らない。祈りの歌。なんとなく思い出して」
「……」
「世界はきれいだね。そういう時って、何かに祈りたくならない?」
「神とか?」
「俺は神の存在を信じていないよ」
きっぱりと言い切った後、カイトは静かに微笑んだ。
「でも、祈りたくなる気持ちはわかるんだ」
2人はそろって空を見上げた。
蒼穹に浮かぶ白い雲。
向かいの山から吹いてくる、湿り気のない風。
遠く、震えながらこだまする鳥の声。
とても平凡な、平穏な一日。
確かにそれは、とても尊い。
再び、低い声でカイトが歌いだした。
知らない言葉で紡がれる歌詞はほとんど聞き取ることができなかったが、レンは空を見上げたまま、黙ってその歌を聴いていた。
Our Father which heart in heaven, hallowed be thy name,
The Kingdom come, thy will be done on earth as in heaven.
Forgive him his debts as he forgive our debts.
Lead him not into the pain, but deliver him from evil.
For the Kingdom, the Power, and the Glory of God,
Amen.
キリスト教の高校だったので、クリスマスなどの行事でこの歌を歌わせられてました。
ところで祈りの言葉に違和感を感じた人、正解です。
普通に知られている祈りの言葉を改変してます。
悪意と無関心による迫害を受け続け、それでも世界を愛し続けた人へ捧げた祈りをそのまま使いました。
私は神を持たないけれど、彼のために、彼の信じる神に祈ろう。
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