6月9日がルックの日なら、6月10日は…?
と考えて、一番最初にルドンの日と思った私はどうかしてると思います。
というわけで、ルドンの日記念SS(まさかの)。
幻水1軸で、坊(レン)、ルドン、クリン、ミルイヒ。
今日も短い時間で書いたので、雰囲気で読んでください…
と考えて、一番最初にルドンの日と思った私はどうかしてると思います。
というわけで、ルドンの日記念SS(まさかの)。
幻水1軸で、坊(レン)、ルドン、クリン、ミルイヒ。
今日も短い時間で書いたので、雰囲気で読んでください…
「これはこれは。レン、ご機嫌はいかがですか」
「どうです、あっしらと一緒に一杯?」
「へっへっへ、席なら余ってるぜ」
「……なんの集まりだ、これは」
元・帝国軍人たちが集まっている塔の屋上。
ゼンと会話をしていたレンは、振り返って目に入った風景に思わず固まった。
バラに囲まれた空間、レースのテーブルクロスに覆われた真っ白なテーブル。
正面にミルイヒがいるのはいつものことだが、同席している2人が正直ありえない。
レンの怪訝そうな表情にミルイヒはくすりと笑い、残りの2人はふぇっへへと品のよくな笑い声を上げた。
「いやあ、この将軍さまがね、あっしのお茶に興味がおありのようでして」
「おいらのお茶もご所望さ。だからこうしてここにいるってわけだ」
「なに?」
レンの視線を受けたミルイヒは鷹揚な微笑みを浮かべ、優雅にティーカップをつまみ上げた。
「そういうことです。なかなか刺激的ですよ」
「……ミルイヒ……無事か?」
「無事とは?」
「おいおい、人聞きの悪いこと言うなよ。おいらのお茶がヤバイとでも言うのかい?」
「人畜無害なクリンなんてクリンじゃないだろう」
「ひでえこと言うぜ、うちのリーダーさんは」
「僕はそんな小悪党なところを買ってる。それとも、まさか本当に無害なお茶なのか?」
「違うけどね」
「だろうな」
まったく悪びれた様子のないクリンに、レンも普通に頷きを返す。
クリンのはす向かいに座っているルドンにも目をやった。
「お前のお茶って言うのも、アレだろ?」
「アレです」
ルドンはにやあっと口を大きく横に広げた。
「虎狼山名物・オデッサ様やレン様もご愛飲の銘茶! いい夢みるならルドンの宿屋へ!」
「ケスラー呼ぶぞ」
「あ、兄貴には言わないで…!」
「…懲りない奴だな」
苦笑しながら、レンは再びミルイヒに視線を移した。
クリンやルドンの言葉を耳にしても彼の優雅な微笑みは失われず、薔薇柄のカップを口に運んでいた。
彼がルドンやクリンと共にティータイムを楽しんでいるのが意外だ。ありていに言えば違和感がありすぎる。
屋上を私有庭園のごとくバラ園に作り変えたり、レンにとんでもないフリル服を勧めてきたり、傍若無人なまでに己の美学を追求しているくせに、お世辞にも身奇麗とは言えない悪党2人はオーケーなのか。
「あなたの美意識がよくわからないな」
「何を言うのですか、レン」
「花将軍には似合わぬ名のお茶だと思うが?」
「そんなことはありませんよ」
ミルイヒはくすりと笑うと、慣れた手つきで新しいカップに琥珀色のお茶を注いだ。
「良い色でしょう? お二人のお茶に手を加えて、進化させてみたのですよ」
どちらの方向に進化したのか、かなり気になるところだ。
「クリン殿のおだぶつ茶、ルドン殿のぬすっと茶、それに私のマリィアントワネットの要素を加えてみました」
「まだ持ってたのか、アントワネット」
青さ絶好調のフリックのおかげで危うく全滅するところだった原因の巨大バラだ。
スカーレティシア城を陥としたあの日、「腕がああああ」とどこぞの天暗星みたいな台詞を吐いていたミルイヒの背後でゴウゴウと景気よく燃えていたはずだ。
「ノン、ノン。マリィアントワネットですよ。ゼン殿に頼んで改良を加えてみたのです」
「……ほう」
「すごいぜ、これは」
クリンが得意そうに鼻をひくつかせた。
「おいらのお茶は眠り薬入りのお茶だが、ルドンの野郎はしびれ薬そのもので、将軍さんのは毒そのもの。それを合わせて何ができると思う?」
「飲んではいけないものだろうな」
間髪入れずに即答したレンに対し、クリンは「ぶっぶー」と口を尖らせた。
ルドンがひどく嬉しそうにふふふと笑って肩を揺らす。
「飲んだら驚きますよ、レン様。この新・ぬすっと茶は…」
「花盗人、ですよ。ルドン殿」
「ああ、そうだった。この鼻盗人茶はですね」
なんとなく、スタリオン逃げてー!と言いたくなるようなネーミングである。
「なんと! 飲むと世界が虹色に見えるんです!!」
「飲むな」
***************
「ああ、世界はなんと美しい…! あなたがたお2人の顔さえ美しく見えますよ…!」
「お宝がいっぱいだあ~。持ちきれないぜ、へっへっへ」
「世界中にしあわせと笑顔を与えるルドンの宿屋! ルドンの宿屋をよろしく!」
歓喜の声をあげる3人に背を向けると、レンは黙々と己の仕事に没頭していた背中に声をかけた。
「……ゼン」
「はい」
「水をくれ。バケツに1杯…いや、3杯」
クリンのお茶は勝手に命名。ルドン、脇役です(^^;
あと、念のため。ゼンって、クロン寺にある過去の洞窟入口付近で畑を耕してた人です。本拠地ではバラのお手入れに余念のない麦わら帽子。同じ農夫でもブラックマンはなんだかギラギラしているのに、ゼンは…地味ですよね…
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