私生活が激忙しくなりそうです…。普通にやばい。血の気が引く。
しかし私はかつて1日14時間労働×1ヶ月を乗り切った女!学校ごときに負けてられるかああ!
……うそです心おれそうです。
そんなわけで、書こうと思っているのは別の物なんですが、自分のために桜セラピー。
2軸で、フッチ、坊(レン)、シーナ、ルック。
2年前のトラン3人組の花見+先日のフッチの花見のイメージ。
時間が空いてるので2年前の3人組からは若干シチュが変わりましたが、実は2年前に三部構成にしようと思ってました。やっと全て出しきった。
しかし私はかつて1日14時間労働×1ヶ月を乗り切った女!学校ごときに負けてられるかああ!
……うそです心おれそうです。
そんなわけで、書こうと思っているのは別の物なんですが、自分のために桜セラピー。
2軸で、フッチ、坊(レン)、シーナ、ルック。
2年前のトラン3人組の花見+先日のフッチの花見のイメージ。
時間が空いてるので2年前の3人組からは若干シチュが変わりましたが、実は2年前に三部構成にしようと思ってました。やっと全て出しきった。
●地上の花見(2軸/フッチ、坊(レン)、シーナ、ルック)
草地の上に、3人の少年が寝転んでいた。
てんでバラバラな方向に身体を投げ出した彼らの間には、会話らしい会話もない。
目も、開いているのか閉じているのか。起きているのか、寝ているのか。
横たわる3人の身体の上に、ただ、はらはらと花びらが舞い降りている。
そこにあるのは、静かで、穏やかな空気。
フッチは彼らから少し離れた木の下で立ち止まった。
崖から降りる細い道の途中で寝転んでいるレンたちの姿を見つけた。
それでここまでやって来たのだが、なんとなくこれ以上近づけない。
彼らは、いつもそうだ。
口を開けば喧嘩のような言い合いばかりで特別仲が良さそうにしているわけでもないのに
口を閉じた途端に空気を共有し始める。言葉なんかいらないのだと言わんばかりだ。
他者を拒絶しているわけではないのだろうが、そんな時の3人の輪には入り込めない。
「(レンに一番最初に会ったのは、オレなんだぞ)」
フッチは、いつも言い出せない言葉を今日もつばと一緒に飲み込む。
小さく息を吐き出すと、太い幹に背中を預けて寄りかかった。
と、寝ていたはずのレンの手がひょいと上がり、ひらひらと左右に揺れた。
気がつけば、顔だけこちらに向けたレンが口元に小さな笑みを浮かべてフッチを見ている。
フッチが気がついたことに気がつくと、もう一度手をひらひらと振った。
それでも、行って良いものか少しだけ迷う。
ためらっていると、もう一つ、ひらひらと揺れる手が加わった。
片目を開けてこちらを見ているシーナが、やはり口元だけで軽く笑っている。
残ったもう一人も、ちらりとこちらに目をやった。
てんでバラバラに見えるのに、黙っていれば空気を共有するし、何かに気づく時はほぼ同時に気づく。
それも、フッチには何となく癪だった。
*********
「酒ある?」
フッチが3人に向かって歩き出すと、真っ先にシーナが声をかけてきた。
持ってないと首を振るとなんだよと口を尖らす。それはいつも通りの、軽いシーナだ。
「花見と言ったら酒じゃん。気ー利かねえなあ」
「シーナだって持ってないよね」
「だからフッチに期待したんだって」
「大体、花なんて見てないでしょ」
「心で感じてんだよ。わかんねーかなあ」
「……フッチ、相手にしなくていいから」
絡んでくるシーナから救いの手を差し伸べてくれたのは、意外なことにルックだった。
上半身を起こしたレンは、くすりと楽しそうに笑う。
ひょいと手でフッチをさし招くと、その手で頭上を指さした。
「さっき、崖の上に誰かといただろう」
「気付いてた? チャコとだよ」
「なるほど。あんな高い崖の端に平気で座ってられるのはフッチの他はウィングホードくらいだろうな」
フッチは崖の上から見下ろした時は、レンの姿を見つけられなかった。
そう言うと、レンはまた楽しそうにくすりと笑う。
「僕は木陰にいたからな。でも下から見上げると結構分かるもんだぞ」
シーナは相変わらず寝転んだままだ。腕を枕にしながら、身体を半回転転がしてフッチの方を向いた。
「なあ、上から見るのって綺麗?」
「綺麗だよ。真上から見るともっと綺麗。そんな話をしてたんだ」
「ふうん」
にやりと笑う。なんだよと言う前に、その手がぐいと伸びてきた。
足首を掴まれ、そのまま地面に引きずり倒される。
文句を言おうとした眼前に指がつきつけられ、その指が上を指し示した。
つられて上を見たフッチは、続く文句を忘れた。
寝転ぶことによって制限された視界の全てが、桜色に染まっている。
重なった枝の向こう側に、自分たちがいた崖が見える。そこですら桜の色に染まっていた。
枝は花の重みによってか軽くしなり、そこからこぼれおちてくる花びらが目の前に迫っている。
風のない雪の日に空を見上げた時にも似ている。
降ってくる。降りてくる。
まるで意志があるかのように、自分めがけて。
――圧倒された。
「下からもオツだろ」
「……うん」
「オレ、寝転んで見るのが一番迫力ある気がするんだよな」
ルックが鼻で笑った。
「ほんとに寝てたくせに」
「だから心で感じてたんだって」
「つまり妄想? わざわざ桜の下で、花見の? あんたってほんと暇人だね」
「なんだとー」
いつも通りの言い合いが始まったが、フッチの耳には届いていなかった。
真上から見る桜は美しい。それは雪が積もって一面の銀世界を眺める時のような美しさ。<静>の美。
それに対し、真下から見る桜に感じるのは――躍動する美しさだ。生命が持つ力強さ。<動>の美。
風によって枝が揺れる、それ以外の音はしないのに命の声が聞こえてきそうだ。
この春を、謳歌せよ。
この命を、謳歌せよ。
――――そうか。
この声を、聞いていたのか。
寝転んだまま頭をのけぞらせると、反転した世界にレンが映る。
目が合うと、フッチの意が通じたかのようにふわりと笑んだ。フッチも笑顔を返す。
真上か見てらも、真下から見ても。
「さくらって、きれいだね」
「だな」
シーナとルックにも目をやった。
既に口を閉じていた2人は、それぞれ思い思いの格好でごろりと転がっている。
それぞれが勝手に、しかし同じようにこの満開の桜を楽しんでいることが分かった。
レンが、フッチの頭をぽんと軽くはたいてまた横になる。
もう疎外感は感じない。
フッチはもう一度桜を見上げて溜め息をつくと、3人と同じように目を閉じてみた。
春の降りそそぐ音 が した
――――――
これでフッチが分かるレンって…w
PR
トラックバック
トラックバックURL: