ののねどこ

週末は、あっという間に過ぎにけり。

早い、早いよ月曜日来るの！
春休みのはずなのに冬休みより忙しい！あおーーん（吠えてみた）
しかし潜ることはすまい。だって妄想の時間がなくなったら力尽きて倒れる…！
思い出した頃に更新すると思います。

しかしあれだ、料理の上手い男性はポイント高いな……
バレンタインに手作りチョコをもらったことにも驚いたけど
さらにホワイトデーにも手作りケーキをいただけるとは思いもよらなんだ。
持つべき者は料理好きな友だ。あ、うん、友なんだ。


そんなわけでホワイトデーSS第一弾。
バレンタインから続くとしたら４主なんですが、４主は書き終わりそうになかったので、まずは２主版。
バレンタインSSとはあまり続いてない(笑)。

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●２主・イリクのホワイトデー


イリクは朝から張り切って働いていた。
普段から、文句を言ったり抜け出したりしつつも基本的には真面目に仕事をこなすイリクだが、こんなに張り切って仕事をするとなると一年のうちにそう何日もない。
夜明けと共に起き出すと朝風呂に入り、みなが目を覚ます頃には既に着替えを済ませて腕まくりをしていた。

そんな調子で働き始めたのに、昼を過ぎた時刻になってもまだ元気いっぱいだった。
その目はきらきらと輝き、頬はバラ色に染まり、笑顔を浮かべ、そのくせ手は休むことなく動き続けている。

シュウはそっと額を抑えた。
「イリク殿……」
「あっ、シュウ！シュウもどう？すっげー張り切ってんだよ俺！」
「見れば分かります」
イリクはシュウの背後に向かっても大声を上げた。
「みんなもジャンジャン来てね！俺からのホワイトデー、手料理をプレゼントするよ！！……あ、君はチョコをくれたよね。え？覚えてるに決まってんじゃん！デザートつけるから楽しみにしててよ。それもちゃんと俺が作ったからさ！」


一月前のバレンタインに、この若い城主がもらったチョコの量は半端なかった。
どうお返しをするか悩んだ末に、彼が選んだのがこの「手料理プレゼント」。
本日限り、レストランを無料開放して来る者拒まずで手料理を振舞っている。
どうしてもレストランの協力なしにはなりたたないが、それくらいは特権ということで許してもらおう。
もちろんそれでも限界はあってメニューの数は限られている、というか一種類しかない。
デザートも小さいし、上に何の飾りもついていないシンプルなものだ。

それでも、料理におけるイリクの手際のよさと腕は、これまでの料理勝負で人々の知るところである。
というわけでレストランは朝から大盛況だったが、イリクにとっては全然苦にならなかった。
チョコをくれた人にもそうでない人にも、みんなまとめて届けこの愛！

「ねーねー、シュウ」
「なんですか」
「俺の仕事って、もうずっとこれでよくね？」
「では、明日からの仕事内容には通常の執務に加えて調理場清掃を加えておきましょう」
「ええ！？俺は作る方がやりたいんだって！」
「では、予算案でも作っていただきましょうか。使えなければ却下いたしますけどね」
「違うってば！このオニー！」
泡だて器を持ったまま頭をかかえたイリクの姿に、集まった者たちが笑顔になる。

「それで、私にもいただけるのでしょうね。今日のイリク殿の仕事の成果を」
「はーいはい。俺の愛を受け取ろうってのに態度でかいねシュウ」
「イリク殿から仕上がった成果を受け取ることはそうそうありませんからね、たまには」
「言ってろオニ宰相！もういいからさっさと食ってけ！」
シュウは鼻で笑うと、イリクからホワイトデーのメニューが乗ったトレイを受け取ってテラスへ向かった。


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「同席してよいか？」
「もちろんです、シュウ殿」
席についたシュウは、向かいの席を見て怪訝そうな表情になった。
「なにがおかしい？クラウス」
「いえ…」
くすくすと笑っていたクラウスは、こほんと咳払いをすると水の入ったグラスに手を伸ばした。
「何でもありません」
「そうか。悪いが午後も忙しくなる、城主が堂々とさぼっているからな。迷惑なことだ」
「（その手配を全てなさったのはシュウ殿のくせに）」
「何か言ったか？」
「いえ。先週いただいていた案件、報告書を送りましたので後でご確認ください」
「ここへ来る前に目を通した。確認したいことがあるから、今晩時間を作ってくれるか」
「了解いたしました」
会話をしながら、クラウスはちらりとテーブルの上に視線を走らせる。
「（……まったく、仲がよろしい）」
またひっそりと笑いそうになって、慌てて口元をひきしめた。

イリクからのホワイトデーと称してみんなに平等に振舞っている特別メニュー。
……シュウのトレイに乗ったデザートはなぜか一回り大きく、その上にイチゴがちょこんと２粒乗っていた。

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※４主と坊は違うところにいます